一票の格差と特定枠③
自民党はこの合区について「緊急避難」と説明したが、
合区された4県の政治家からは、
2件で1人の議員しか選出できなくなってしまうと、
自分たちの県から代表者が出せなくなってしまうことへの不満が高まり
早期の合区解消を訴える声が相次いでいた。
こうした議論を経て2018年に決定したのが、
「合区」された地域の議員を救済する為
「特定枠」として比例の4議席を増やす法改正。
この制度は自民党に対しての救済色が色濃い。
自民党は、合区された県に、
それぞれ一人ずつ国会議員を抱えている。
「島根・鳥取」が合区されると
2県で1人しか選出できないので、
必然的にどちらか1人は議員になれなくなってしまうのだ。
そのため、島根県の議員が「鳥取・島根」選挙区で出るときには、
鳥取の議員は比例の特定枠で優先して当選させるという制度を盛り込むことで、
自民党は、今まで通り
「全ての都道府県から代表者を出す」
ということを実現しようとしたのである。
そもそもこの地域の県から国会議員を出していない野党からは
自分たちにはメリットのない政策だし、
自民党の為の法改正なのがあきらかだった為、
批判の声も挙がっていた。
しかし、表向きは批判を強めていた野党も、
本音では選挙区でも比例区でも定数が増えることには、
歓迎している現状もあり、
結果、特定枠は導入されたのである。